[北大河原/石造物]三社託宣碑(Stone of Kami)

旧国道163号線を、大河原大橋付近から東へ1kmほど行くと、「開拓道路(通称)」があります。下の写真、中央あたりで右へ入ります。

 

 

下の写真のように、自動車1台が通れる程度の道がつづら折れに登っていきます。

 

 

ここから700メートルほど登ると、道ばたに石碑が建っています。少々わかりにくく、宝探しのような気分になれるかもしれません。

 

 

これが、三社託宣碑です。

正面の銘文は

八幡大菩薩

天照皇太神宮

春日大明神

とあります。

右側には、「寛政6(1794)年11月吉日」と記されています。

 

三社託宣とは、天照大神・八幡大菩薩・春日大明神の託宣を一幅に書いたもので、徳目はそれぞれ、正直・清浄・慈悲としています。室町末期より、吉田神道の発展とともに広く流行しました。

託宣とは神のお告げのことで、三社託宣は、3つの教えを説いています。有名な託宣文は、現代風にすると、次のようなものです。

 

目先の欲にくらんで謀(はかりごと)をすれば、必ず神の罰にあたる。そのときには良いことがないように見えても、正直でいると最後には神々の恵みを受けることができる。

心汚れた人からのものを受けるぐらいなら、鉄の玉でも食べた方が良い。心汚れた人の所に行くぐらいなら、真っ赤に溶けた銅に座る方がましだ。

表面的にどんなに清めていても、心が邪(よこしま)だと、神は相手にしない。不幸が続いた家でも、そこの人に慈悲あるならば、神は穢れもかまわずそこへ行く。

 

当時の人びとは、このようにして人として良き道を生きようとしたのです。

 

 

昔の話ではなく、現在もなお、三社託宣が大切されています。

 

昭和35(1960)年に新道ができたとき、人の通らなくなったところにあれば忘れ去られる懸念があるので、現在の場所に移転したとのこと。小さな石碑ですが、後世までも守り伝えたいのです。

 

 

ところで、この碑はもともとすぐ裏側を通っていた大和街道にありました。1960(昭和35)年に新道が完成したことにともなってここに移されたのです。
この旧道は今もすぐそこに残っています。元気のある方はどんな道だったか江戸時代にタイムスリップして歩かれることをおすすめします。

コースは、下の写真に見える小屋の前を左に曲がり、急坂を登り切った所を右に折れると旧街道に出ます。そこを左折するとあとは一本道、 約30 分で新道に出ます。新道を100m下ると三社託宣です。