[南大河原/自然]白滝明神(Shirataki Myojin)
大河原大橋から高山ダムへ向かう府道の中ほど、下のような説明板があります。左が「明神の滝」、右が「弓が淵」とされています。
ちょうどこの位置から川の向こうをみると、大きな岩が見えます。
小山のような大きな岩盤です。「殿様石」と呼ばれます。水流の内側にあって、浸食からとりのこされたのでしょう。岩の上には赤松がはえています。このあたりの水域は静かですが、ここを過ぎると、川の中に岩がころごろしており、急流の難所(明神の滝)となります。木津川は、古代より、水運として利用されてきました。航行の無事と安全を祈って、殿様石の向こう側の岸に白滝明神として祀られていました。(現在はなくなっています)
応仁の乱の真最中、1473(文明5)年、当時関白であり学者でもあった一条兼良は岐阜からの帰りに大河原を通っています。その紀行文「藤河の記」の中で「大河原というところは伊賀と山城の境なり。河原の木石さながら前栽を見るが如くなれば、『苔むせる 岩根に松は 大河原 変わらざりけり 庭の州崎に』」と和歌をしたためています。詠んだ場所はどこか確認できませんが、この「殿様石」の風情がぴったり合っている気がしませんか?
現在は、木津川が水運として利用されることはなくなりましたが、近年、全国的に大雨などによる災害が頻発しています。自然への畏敬の念は持ち続けたいものです。