[野殿/寺社]福常寺(Fukujo Temple)

野殿の集落の中心部に、消防団詰所、野殿区公民館とならんで、福常寺があります。

 

 

「真言宗智山派 千宝山福常寺」と称します。現在の公民館の場所に庫裡がありましたが、明治初年に消失しました。現在は無住で、北大河原の春光寺住職が兼務しています。

本尊は千体阿弥陀如来で、そのほかに不動明王、子安地蔵が祀られています。本尊の千体阿弥陀如来像は、寛文4(1664)年5月26日に、柳生宗矩の子で、柳生芳徳寺の開山でもある義仙が寄付したものです。歴史のページにあるように、南山城村は柳生氏と深いつながりがあります。とくに野殿はそうです。野殿氏は、柳生藩の家老職を務める重臣で、野殿村を領地として与えられ、柳生藩江戸詰家老も務めるほど信頼が厚かったのです。

 

 

下の写真が本尊の千体仏です。

 

 

開山、創建時期は不明ですが、境内の宝篋印塔に永禄2(1559)年の銘があるので、遅くとも室町時代には存在したことになります。

 

 

福常寺は、現在真言宗ですが、本尊が阿弥陀如来です。春光寺がかつて天台真盛宗であったことから、福常寺も同様、天台真盛宗であったと思われます。南山城村の各地域で古くからあり、現在も残っている寺院は、すべてが真言宗です。

 

 

本堂右の奥には、大きなヒノキがあり、「京都の自然二百選」に選定されています。このヒノキをみれば、地域に根付いた長い歴史を思わずにいられません。