南山城村体験観光推進協議会農泊実施ガイドライン

平成30年3月13日
南山城村体験観光推進協議会
(依頼者 南山城村)

1 趣旨

南山城村は、古都奈良を中心とした天平文化に関わる歴史・文化的遺産の宝庫であり、かつ、宇治茶の生産地として和束町とともにその生産量の主要を担い、茶畑景観遺産並びに茶生産文化の発信に取り組んでいます。万葉の時代から現代にいたる「おもてなし文化の原点」を観光資産として、特色ある地域の可能性を秘めたこの地は、京都や奈良以外に、近年インバウンドで人気の “忍者の里、伊賀・甲賀” 及び当村とも特に歴史的関係が深く、幾多の剣聖を輩出した武士道の源泉・柳生の里が近接して存在し、これに関連する体験プログラムを連携させることにより、訪問者の歴史的・文化的興味を高揚させる、特色ある提案もできます。

このように、本村及び笠置町並びに和束町の相楽東部3町村は、「歴史・文化」「自然体験」に加え、「スポーツ」としての野外活動にも豊富な観光コンテンツを保有し、特に教育旅行(修学旅行)においては、既存の“京都・奈良”という人気観光コースを変更することなく、農家民泊を導入できるという地理的好条件を兼ね備えていると言えます。

これは国内の体験教育旅行だけでなく、海外の企業・各種団体の「体験型研修旅行」などの誘致にも適しており、今般の事業を通じて地域の農家民泊の受入れ体制を整備することにより、インバウンド観光の今後の増加見込みの傾向から、市場は十分に見込めると考えています。

この豊かな自然と素晴らしい景観、そして当地を訪れる人々に訴えかける歴史的・文化的ストーリーを背景に、地域住民の居宅で「田舎暮らし」を体験していただく“農村体験民泊”を都市農村交流の推進及び地域活性化の有効な手段の一つとして位置付けます。

今後の事業実施に向けて協力民家の軒数の確保、関係機関・諸団体との調整や協力民家への指導等受け入れ態勢の整備をはじめ、体験型教育旅行の広報・誘致などに指導的役割を果たしていく地域の主体が求められており、また、これらの目的を果たすため、地域住民をはじめ関係者が共通理解を図りながら、併せて世代間・男女間の共同参画を促し、体験型教育旅行の推進活動がすべて関係者の“生きがい対策”にもなり得る農山漁村民泊を実施できる村を目標とし、そのためのガイドラインを定める必要があることから、事業の実施主体となる南山城村体験観光推進協議会がこれら本村の活動の環境整備の基盤となり、行政との協働のもと「南山城村体験観光推進協議会農泊実施ガイドライン」を策定し、地域住民とともに農村体験民泊を通じた地域活性化を進めていくことをここに宣言します。

2 「農村体験民泊」の概要

区分 内容 備考
活動の根拠 平成28年3月31日付け生食衛発0331第2号厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部生活衛生課長通知 いわゆる「旅館業法の適用対象外となる体験宿泊」
実施主体 南山城村体験観光推進協議会
協力民家 実施主体の行う「体験民泊」に協力し、利用者に体験学習を提供するもの
関係団体 南山城村 産業生活課
むらづくり推進課
受入れ対象 体験学習を伴う教育旅行等であって、次に掲げるもの

  1. 平成30年3月12日付け 30南産第109号で南山城村から協力依頼されたもの
  2. 近隣市町村から個別に協力依頼されたもの
  • 学校教育法第1条に規定する学校の学校長が教育上必要と認める修学旅行
  • 企業または団体の研修旅行等(学校の児童を対象としない受け入れは、南山城村と個別に協議する)
体験学習
①提供方法

①実施主体の指示に従い、協力民家ごとに利用者に対して体験学習を提供する

②内容及び指導料

②実施主体の登録を受けた内容及び指導料とする

③受入れ人数の制限

③宿泊を伴う場合、安全確保のため1協力民家が1泊に受け入れる利用者は5人以内とする

④食事

④原則、食事の提供を行わない(自炊・共同調理)

⑤安全対策

⑤実施主体が傷害保険等に加入するとともに、事故発生時はその対応窓口となる

3 「体験民泊」の範囲

関係団体の依頼を受けて実施主体が取り組む「既存民家を活用した体験型教育旅行」であって、以下の要件をすべて満たすもの。

①受入れ対象は、関係団体が実施主体に協力依頼した範囲に限るものであること。

②利用者の受入れは実施主体を通じて行い、日程調整、協力民家の割り当て、体験料の徴収等についてはすべて実施主体が管理するものであること。

③協力民家が利用者に提供する体験学習の内容及び指導料は、実施主体の登録を受けたものであること。

④協力民家は利用者から直接、体験料等を受け取らないこと。

⑤利用者の食事は、利用者が自ら調理するもの、または協力民家と共同で調理し、一緒に食べるものに限定されていること(ただし、食品衛生法の飲食店営業者が提供するものを除く)。

4 実施主体の役割

実施主体の役割は以下のとおり。

ただし、事前に受入れ対象と協議を行い、協力民家が安全かつ衛生的に体験学習を提供できる場合にのみ、体験民泊の受入れを行うものとする。

①協力民家の指導(講習会の開催を含む)及び登録(体験学習の内容、指導料の設定を含む)に関する業務

②受入れ対象(またはその仲介者)との契約業務

③協力民家との調整に関する業務(日程、利用者の人数、体験学習の内容)。

④体験指導の対価の額を設定し、受入対象(またはその仲介者)から料金を受領し、協力民家に指導料を支払う業務

⑤傷害保険加入、事故発生時における対応窓口の設置等安全確保に係る業務

⑥その他体験民泊の実施全般に係る業務

⑦登録全民家を対象とした別表1を内容とする講習会の実施(年1回以上)

5 協力民家の登録手続き

協力民家の登録基準については、別表2のとおり。

登録を受けようとする者は、登録申請書(別紙1)を実施主体に提出し、その審査を受けなければならない。

実施主体は、審査の結果、登録基準に適合していると認められた申請者に対して登録証(別紙2)を交付する。

実施主体は、協力民家の名簿、情報を整備・保管するとともに、受入実績を把握し、入手した個人情報については、その管理に十分配慮するものとする。

6 協力民家等の遵守事項

協力民家は次の事項を遵守しなければならない。

①実施主体の指示に従うこと。

②毎年1回、実施主体が開催する講習会(別表1参照)またはこれと同等と認められるものを受講すること。

③講習会で学んだ事項を遵守し、利用者に対して安全面及び衛生面に十分配慮した体験学習を提供すること。

④事故発生時は、直ちに実施主体に通報し、その指示に従うこと。

⑤協力民家は利用者から直接、体験料等を受け取らないこと。

7 その他

この規定に定めの無い事項については、必要に応じて実施主体が協力民家または関係機関と協議した上で対応することとする。

付 則

1 このガイドラインは平成30年 月 日から適用する。

別表1 講習会の内容
講習項目 講習内容
1 受入全般の留意事項

①受入れに当たっての心構えについて

②事前準備について

③利用者への説明の徹底について

④利用者への目配りの徹底について

⑤個人情報の取り扱い

⑥施錠・盗難について

⑦禁煙・禁酒について

⑧火災対策について

⑨病気・けが・アレルギーの対応について

⑩緊急時の対応について

⑪その他

2 安全対策について

①事前のチェックと説明責任について

②利用者の健康状態、気候等の考慮について

③事故発生時の対応について

④その他

3 衛生対策について (1)食品衛生について

①手洗いの励行について

②調理場の衛生管理について

③食品・食器の取り扱いについて

(2)宿泊体験衛生について

①寝具の取り扱いについて

②風呂等の取り扱いについて

③トイレの取り扱いについて

④給水施設の取り扱いについて

別表2 登録基準
区分 内容 備考
居住地 南山城村に居住する者であること
体験学習の内容 関係団体からの依頼内容を鑑みて、実施主体が適当と認めた内容であること。 宿泊を伴う体験学習の場合、利用者の安全確保のため協力民家が1回に受入れる利用者数は5人以内とする。
指導料 以下の経費から算出した金額で、実施主体が内容及び指導時間を考慮して適当と認めた金額であること。

①消耗品費(体験指導を行うための材料費)

②体験指導に係る人件費(体験指導のために要する労賃)

③収穫した農産物の費用(収穫体験の場合)

その他体験指導に係る諸経費(備品等は除く)

次の経費は指導料に含まない。

①宿泊料に該当する経費(布団のリース料等)

②利用者の送迎に要する費用

③その他謝礼的な経費

講習会の受講 実施主体が実施する講習会(別表1参照)を受講していること。
設備 宿泊を伴う体験学習を行う場合、衛生的に管理された浴室、洗面所、便所、調理場を有していること。 実施主体は現地調査を行うこと。